「ゲームにすればうまくいく<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク」の書
ゲーミフィケーションのことについて書かれている、ある程度初期の本(2012年4月初版発行)。
ゲーミフィケーションの指南書
ゲームにすればうまくいくと銘打っているにもかかわらず、冒頭から「ゲームをつくればビジネスがうまくいく、なんて思ったら大間違いです。」と書かれてあります。
そんなに甘いものではないという諌言で始まりながらも、ゲーミフィケーションについて、事例を交えながら、丁寧に記してくれています。
ゲーミフィケーションには、9つのフレームワークがあり、段階を得ながら組み立てていく。その手法について、学べる本です。
たくさんの事例
あらゆる分野での事例を挙げながら、ゲーミフィケーションの仕組みについて、紐解いてくれます。
- なぜ「計るだけダイエット」でやせるのか?
- なぜ高機能な電子レンジは使いにくいのか?
- なぜハーレーは縮小する市場で新車販売台数を増やし続けるのか?
- なぜセブンーイレブンは真冬の二月に冷やし中華を売るのか?
- なぜAKB48のじゃんけん大会はただの「じゃんけん」なのに盛り上がるのか?
9つのフレームワークが、各レベルに応じて説明されていて、読めば納得。
特に気になっていたのが、AKB48。
知り合いの県庁の課長さんが、
「AKB48の仕組みはすごい!マーケティングなど相当に考え抜かれている。夜通し、それについて語れる!」
とまで相当に感銘を受けていたので、そのカラクリが少しでも垣間見えて良かったかなと。
今、「君の名は。」などで話題になっている聖地巡礼についても、ふれられています。
ゲーミフィケーションの極意
この本で、著者は次のようなことを述べています。
究極的にはサービスの利用者に対しての「おもてなし」の精神を発揮することだ
自分もなぜゲーミフィケーションについて研究しているのかといえば、どうすれば人に楽しんでもらえるか?ということが根底にあります。
遠隔農場テレファームの遠藤忍社長と交流があり、お話を聴くことが多々あったのですが、最初からゲームにしようとしていたわけではなく、利用者に農業のこと、システムのことなどを分かりやすく提供するために、ゲームという形にしたとおっしゃっていました。
この本の中で、ゲーミフィケーションはあくまで手法の一つであり、おもてなしという精神があってこそということを、京都の文化を事例としながら、懇々と説明をしてくれています。
ビジネスの原点にも立ち返ることができる一冊です。